広辞苑/アマメ庵
与えられた部屋の本棚にブリタニカ百科事典さえ鎮座していた。
広辞苑はデカい。
普通版でも、タウンページよりも大きく、重い。
ランドセルに入れようとすれば、ほかの教科書その他一切を廃さねばならず、携帯は不可能といえる。
学習机の上にあっても、他を圧倒する存在感を放ち続ける。
開いて使用するにも、重たくて、億劫だし、内容は大人向けで面白みに欠く。
即ち、友人らが所有していた、重い期待と物質的重さを伴った広辞苑は、あまり日の目を見ることがなかったのではないだろうか。
そして子供だった彼らに、その取捨選択の判断が委ねられたら最後、日の目を見ぬまま古書店に持ち込まれるのかも知れない。
わ
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