booked will/月乃助
{引用=
忘れ去られた化石のように
書籍がたちならぶ
黴は 胞子のにおい
博物館の展示品さながら
標本とみまがい、
ここでは もう誰も
紙に書かれた物語を
手にするものはいない
紙の本たちは、死んでしまったのです
死に絶えた本たちのかたわらに
フォルマリンの瓶に浸かった 「 知性 」たちも
ひっそりと
息をころし
外界では、ただ「 情報 」ばかり際限なく
圧縮と増幅をくりかえし
デジタルの 文字の網は、
するがままに
網羅をつづけ、
図書館は、無言(しじま)の
博物館化されるに
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