告知/Seia
あなたは余命四十年と二ヶ月です。
突然そう言われても
私の頭の中は
まだ結構先あるんだな
でいっぱいだった
ぼんやり、
麻酔が効いたままで
よろめきながら帰り道
側溝におちそうになっていたのは
私、じゃなくて筒、
筒としか言いようのない筒、
卒業証書を入れるような筒、
を手にとってみる。
そして、
ぽん、
と小気味良い音を立てて
開いた筒をのぞき込んでみる。
中身はない、
中身はないが、
底に何か書いて……
……書いてあるが読めない、
思い出したように
携帯電話のカメラを起動させ、
ライトで照らしてようやく
「みらい」
と平仮名で小さく書か
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