思い出の痛みは嘘になる/ホロウ・シカエルボク
隣に座っていた、常連の、不動産屋のヒゲにウィンクして見せたのね。そしたらヒゲが、金を持ってないなら部屋の世話は出来ないぜって言うから、どうなの?ってその若い男に聞いたのね。そしたら持ってるって言うから、ヒゲは、よし、ちょっと二人で話しようぜって言ってかれを連れて店を出たのね。それでしばらくしたら若い男だけ帰って来た。ヒゲは?って聞いたら、もう帰ったって。そうね、だいたいいつも早めに切り上げて帰る男だったからね。で、あたしはヒゲが居た席に座って、バーボンを頼んだ。お礼にごちそうしてくれるって言うからさ。で、かれがあたしの名前を聞くから、エリよって教えてやって。で、あたしはかれの名前を聞いたの。そした
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