葡萄酒/そらの珊瑚
 
土踏まずの深い足裏で
たわわに熟した葡萄を踏みつぶす
たちどころに
赤紫の液体が
箍(たが)で締められた
大きなたらいの中でほとばしる
秋の森は
少年と少女の息遣いで色づき
どこか秘密めいた笑い声でさざめいた

やがて
いくつもの気泡は消え失せて
芳しく発酵したころ
――飲み干せば
初恋だったと気づくでしょう



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