墓参りー千の風にならない人たちへ/……とある蛙
 
えず
吹いてはいけないと誰かに聞いたので
一束ぐるぐる振り回していたら
烽火(のろし)のようになってしまい
それでも何とか線香を立て
大量のケムリとともに
咽せながら拝んだ墓参り


ーもう何年になったかも
パッとは思い出せないよ お袋
いつの間にか死んでしまって
その後六年後に親父も死んで
今は仲良くあの世に行って何してる

俺はどうにもこうにもやりきれなくて
それでも何とか生きている
親孝行は出来ないもので
気づいたときは墓の下

線香の煙が目にしみる

「千の風になって」
なんて知ったことか 洒落臭い

俺には慣れない墓参り
これからも気がついたら
生きている限りするよ

この墓には入らないだろうけどさ
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