可愛くないヤドカリ/北橋勇輝
すぐに僕は狭いところに足が向く
別に好きってわけじゃないんだけど
元々こうなんだから仕方がない
何度か引っ越しをしようと思ったけど
どれも失敗に終わってる
別に悲しいってわけじゃないんだけど
あなたは閉じこもる僕に
「出てきなさいよ」って叱るけど
ここが一番、楽なのさ
部屋の前に置かれた晩御飯に誘われて
僕は罠に引っ掛かってしまった
「このままだと世界は開かないよ」
なんて言われても……
こう見えても努力はしてんだよ
だけど上手く行かないんだよ
だから大目に見ておくれ
戻る 編 削 Point(1)