蜘蛛の糸/中山 マキ
 











腹の中で成熟する生き物は
愛おしさと脅威に満ちて
その者たちの全てを
いとも簡単に奪ってしまうのだ
私は知っている
愛情を踏みつけるという行為は
家族にこそ起こり得るということ

もしかするとその傍らにある
あなたに安易に近付けない理由
瞬きがいつか世界を壊すかのよに
この心を見透かして微笑むから
ただ恐ろしい

全てを知るということは
愛の対局線上にあるべきものと
不思議と位置付けられているけれど
投げ出すことを放棄した
打たれ強い人だけが選ぶ
究極の選択肢のように思う

いっそ責めてくれればいいのに
あなたはそうやって
私の誤りにさえ許容する
それはやさしさと対峙して
まるで真綿で首を絞めるように
私を上手に苦しめるのです

















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