カレンダー/アマメ庵
 
ノクロームなのかさえ判然としないような感じだ。

過去の写真はとっくに捨ててしまったが、たしか、雪、桜、ツツジ、盛夏ときて、当月のモミジである。
モミジは紅い。
目を見張るほどに紅い。
もちろん部屋にあるのは、ナマのモミジではなく、化学合成されたインクが表現したモミジだ。
モノクロームな部屋の中で、まさに異彩を放っている。
こんなことを書いていると、部屋に本物のモミジがあっても良いように思えるが、そんなことは非現実的だ。

いくらモミジの写真が目を引くと言っても、二ヶ月に及ぶ掲示期間には飽いてくる。
四季折々、日々移ろう庭ではなく、こちらは写真で二ヶ月間まったく変わらないのだ。
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