雪/mizunomadoka
 

隙間を埋めた新聞が震える
山小屋の木壁はとても
この吹雪を乗り切れそうにない
テーブルを倒したバリケードの裏側で
貧しい体温を分け合う二人
「きみが生き延びたら僕の父と母と姉に愛していたと伝えてほしい」
「ああ」
「ずっと愛していたとそう言ってくれ」
「分かった。絶対に伝える」

朝がくれば天候が変わって太陽が出るかもしれない
僕らは凍えたまま眠っているだろう
風が吹けばそれは私かもしれない
雪が降ればそれが私かもしれない。そうきみのノートに書いてあった
生きていくためには燃やさなくてはならない
暖をとるには何かを

発見はされなかった
この惑星に降りるものはなかったからだ
彼らの父と母と姉が存在していたのかは分からない
けれど最後の瞬間、彼は目を閉じて風の音を聞いていた
もう一人の彼は相棒の名前を呼ぼうとした




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