飯島耕一さんとのいくつかの出会い/中川達矢
内部で 一度死んだスペインが/もう一度生きはじめ、/グヮダルキビル川が/光る。」ことや「きみの内部に ふたたび/オレンジとオリーヴの群落のある/岩原が ひろがり出す。」ことができた。こうして「きみの内部」が満たされていった「きみ」すなわち飯島耕一は再び詩を書くことができるようになった。
発表自体は、最初に覚えた共感をできるだけ隠しながら、この詩集の構造を分析して、この一人称であるべき「きみ」がこの詩集内でどのように描かれているかに焦点を当てた。その発表を聞いたものをどれだけ説得できたかはわからないが、発表するにあたって何度も『ゴヤのファースト・ネームは』を読み直した時間は今でも、私の「内部」で生き生きとしている。
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