飯島耕一さんとのいくつかの出会い/中川達矢
も過言ではない。『ゴヤのファースト・ネームは』は、飯島耕一自身のデプレッションが回復へと向かう過程が描かれたものであり、強い共感を覚えた。その共感できた感動、『ゴヤのファースト・ネームは』という詩集に対する感謝をこめて、学会ではこの詩集の良さをいかに発表できるか、ということで発表内容を決めた。
一人称であるべき「ぼく」は、二人称としての「きみ」として描かれており、そして、「きみの内部」がからっぽになってしまって、いわゆる対人恐怖症的になってしまった「きみ」が旅をする物語。その旅をしていく最中で、「見ること」が恐怖となっていた「きみ」は様々な出会いと共に「見ること」を取り戻すことで、「きみの内部
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