まちがう/伊織
恐らくあとすこしで
不器用なりにかたはつく
着地点さえ定めれば
引かれあうには理由があり
途中までは見えている
交わるのかどうかは
舵の切り方
それはたぶん 既視感、共感、同情
多少の興味本位
とてもシンプルで簡単なできごと
だけど
忘れたのか、と
何度も何度も霧雨に打たれていた
忘れたのか、と
わたしも
あなたも
憶えているのは
緩い水の感触か
冷徹な空気の温度か
たったひとつの毛布になろうという幻想
あるいはふたりで夜空を見たい
考えていないんだ
考えられないんだ
今更
ほかの解決方法など
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