正常というのはつまらない/桐ヶ谷忍
ことを考えるのは、自分の詩がつまらなくなってきた、と思うからだ。
最近「抒情文芸」という詩誌に投稿するようになって、自作未発表の詩しか受け付けてくれないから
詩が出来上がっても、すぐにはここに投稿できなくなってしまったのだけど、我ながら
自分の詩を読んで、ああこいつは至極まともになってしまったなあと感慨にふけってしまう。
まともな詩というのは、つまらんなあと思う。
だって、まともな人が持つ感覚と同じだから。
有象無象の群集のひとり。個々に見ていけば驚くほど違うのだろうけれど、一目瞭然の存在感は
群衆の中には居ない。
私はその群集の中に紛れ込めるようになったのに、いざそうなってみると、ひどく居心地悪い。
正常であるというのは、つまらないと同時に疲れる。
みんなと同じように振舞わなければならないから。
狂っていた時は、振舞わなくても許されていたのに。
明日は台風だ。
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