正常というのはつまらない/桐ヶ谷忍
深く傷つける。
それがあった時は、厭うてすらいたのに。
自分が自分であるという苦しさは今もあるけれど。
私は正常だろうか、今、たった今のこの自分はおかしくないだろうか、と常に自身に問い続けている
程度には、私は少しおかしいのだろうが、正常だ、と答えが返ってくるのを私は落胆して聞いている。
こんなこと、おかしかった頃の私を知っている人間に言ったら怒られてしまうだろうけれど。
私のせいでどれだけ負担をかけられたと思っているのだ、と憤るだろう。
だから私は、好きな時にひとりでこっそり、またあの狂気を宿したり、外せたり出来れば良いのにな、
なんてことを考えている。
そんなこと
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