正常というのはつまらない/桐ヶ谷忍
来なかった、と思っていた。
別に私の拙作なんかどうでも良いのだ。
正常と異常では異常寄り、という人の書いたものに惹かれるのは、世界の果てが書かれているからだ。
こんな言い方では分からないなら、人間の「きわ」を覗き込んでいる人の内面と言おうか。
それはおよそ健全な詩を読むより、ものすごい訴求力がある。
正常な時には分からない「きわ」を、同じレベルで見ようとしても、なかなか見られるものではない。
それでもその凄まじさ、陰惨さは感じ取れる。
彼岸に身を乗り出している人間の書いたものには、人としての領域を超えようとしているようなものを
感じてしまう。
もちろん、私が狂っていたあの
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