美ヶ原への想い/ヒヤシンス
 

雲海に沈む太陽に心が沸き立つ時、
私はもはや一人ではない。
この道はあなたも通った道。
過去に飛翔する魂を私は許した。

生への鼓動がこの道をゆく。
私の視点の先には常に未来が横たわる。
萎れた花々、廃れた町並み、汚れた感情は、
すべて通り過ぎたのだ。

朝には清々しい空気を吸い、
午後にはあらゆる知識の匂いを嗅ぎ、
夜には甘く熟れた音楽にその身を委ねる。

意識は塩を含んだ穿った岩に寄り添いながら、
昼間の熱をその身に留めた草原の中に在る。
人は意識の転調にその真意を汲み取らねばならないのだ。

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