十月の扉/そらの珊瑚
 
底から
蒸発した
温かい水が
蓋裏で
冷たい水になる

ほんの少し
傾けただけで
それは
ふたたびのしずくとなって
ほとばしる

涙の成り立ちを
まぶたの裏で描きながら
わたしは
いまだ傾けないでいる
トーテムポールの呪文を忘れてしまいました

十月の扉の前で
ピクルスなんかかじりながら
サンダル履きのまま
立っている
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