十月の扉/
そらの珊瑚
底から
蒸発した
温かい水が
蓋裏で
冷たい水になる
ほんの少し
傾けただけで
それは
ふたたびのしずくとなって
ほとばしる
涙の成り立ちを
まぶたの裏で描きながら
わたしは
いまだ傾けないでいる
トーテムポールの呪文を忘れてしまいました
十月の扉の前で
ピクルスなんかかじりながら
サンダル履きのまま
立っている
戻る
編
削
Point
(18)