はじまりの日/服部 剛
川の畔の土手に腰掛け
考える人、のポーズを取る私を
周囲で風に揺られる秋桜(コスモス)の花も
飼主に引かれ、小道を従いてゆく犬も
みんな秋の琥珀の黄昏に包まれて
各々(おのおの)時の川の流れる夕闇へ――
遠い都心のビル群の
影絵のあい間に陽は沈み
明日の陽はふたたび
東の地平に顔を出す。
そうして私は自らの
新たな産声を(第六感)で聴くだろう――
川の流れる夕闇の先へ
広がってゆくいのちの海よ
私も、花も、飼犬も、樽の姿で
からだに空いた一つの心という穴に
風の息吹のふき抜けるまま
海の彼方(あなた)に浮いています。
それぞれの夜を越えて明滅する、星空を仰いで――
やがて明け方の空に昇る
朝日の宝石は散りばめられるでしょう
世界の初めの日のような
ひかりの海に
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