いない/北橋勇輝
 
歩くとき隣に誰もいない
静かな場所が好き
だけどたまに声が欲しい

夢から覚めた彼女は
まだ夢を見ているような表情で
コーヒーを飲んでいる

繋がれていない手と手
何回も繰り返すテープ

君の代わりになる者
いない いない いない
振り返ってもいない
私を呼ぶ声がしたから振り返ったのにいない

あのとき聞いた足音が
せめてあなたのものならば
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