へたくそ/まーつん
 
 やーい
 へたくそ

 生きるのが
 へたくそ


 つるつるに磨かれた
 硝子テーブルを這いまわる
 コガネムシみたいに

 もがいちゃってさ
 いたずらに

 ピアノの音色に誘われて
 花畑を迷い出た
 世間知らずの蝶みたい

 どこかの窓に飛び込んで
 飢えて窶れはてるまで
 硝子に足を滑らせて
 甘い旋律に浸っている

 水の冷たさ知りたさに
 飛び石の途中、立ち止まり
 流れに足を掬われて
 河に飲み込まれていく

 だから
 いつまでも渡れない
 望みの叶う、向こう岸へと

 空に届かず落ちていく
 折れた翼の紙飛行機
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