ぶかぶか【詩サークル「群青」九月のお題「音」から】/そらの珊瑚
 
ってこない

長靴の隙間から
雨水が入ってくる
足と長靴の内側に出来る
ほんの少しの空気に入りこんだ泥水が
歩くたびに
ぶかぶか鳴った
気持ち悪さが
愉しさを上回り
懲りないわたしの長靴は
水たまりを素通りできずに
景気よくそこへ跳び込んだ
そのあとは 
ひたすらになまぬるく一歩ごとに重くなるのに
なんの得にもならない
歩くだけで変な音の出る楽器を
家路をたどる友にしていた遠い日

ぶかぶか
余白が奏でるミョウチキリンな音を
愛していた


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