ぶかぶか【詩サークル「群青」九月のお題「音」から】/そらの珊瑚
ってこない
長靴の隙間から
雨水が入ってくる
足と長靴の内側に出来る
ほんの少しの空気に入りこんだ泥水が
歩くたびに
ぶかぶか鳴った
気持ち悪さが
愉しさを上回り
懲りないわたしの長靴は
水たまりを素通りできずに
景気よくそこへ跳び込んだ
そのあとは
ひたすらになまぬるく一歩ごとに重くなるのに
なんの得にもならない
歩くだけで変な音の出る楽器を
家路をたどる友にしていた遠い日
ぶかぶか
余白が奏でるミョウチキリンな音を
愛していた
[グループ]
戻る 編 削 Point(22)