美しい死/まーつん
 
 豊かさで生を飾りたて
 その終わりまで、しがみ付く
 爪を現世に突き立てて

 煌めく衣装を脱ぎ捨てれば
 露わになるのは、荒れ果てた魂

 電池のように使い切ったら
 死出の寝床に、潜り込む

 居並ぶベッドは
 見渡す部屋の遠くまで
 数え切れなく、整然と続き

 拘束された身体
 気管に差し込まれた管
 虚ろな目は天井に向けられ
 見えない空を、見つめていた

 僕は、枕元に立ち
 命の沼から立ち昇る
 たじろぐ様な、腐臭を嗅いだ

 そして、
 言葉が綴られる

 壁に四角く切り取られた
 窓から注ぐ午後の光に
 彼等の声が、無言の
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