4分間/小川麻由美
 
16時35分

視線を見開き 曇天の空を仰ぐ
視線を細くして 雲の切れ目が刺す
光の線は 川に降り立ち 流れる


17時10分

光の線は 炎を帯びながら
薄れゆく景色に 目もくれず
自らも影を 薄くしていく


17時20分

やたら 信号の明かりが強く感じられる
「あの黄色いカウンタックっていくらするんだろう?」
話しながら夫はスモールライトをつけた


17時24分

夫は早めにライトをつけた
「そういえば車の時計は4分進んでいるよ」
車の時計の4分と他の4分
4分の違いの時計で過ごした 私達
相も変わらず
くだらない会話を楽しみながら
私はウトウトしはじめた
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