一方井亜稀詩集『疾走光』について/葉leaf
は世界の網羅的で間歇的な発光のネットワークである。そしてそのような微細な諸力の発現が、様々な偶然に触発されて、より大きなシステムを形成していく。世界は均質ではなく不均衡であり、それゆえにその不均衡に触発されて様々な運動が発生して、より上位の不均衡なシステムを作り上げていく。社会の構造や大きな社会的事件は、歴史の根源にある微細な諸力と基本的な構造に偶然が作用することによって創発されるのであり、そのようにして創発されたより大きな出来事はその根源に還元できない独自の在り方をしている。
さて、一方井の詩編も、彼女の身辺の出来事や彼女の内面の出来事を言語的にまとめあげた一つのシステム、「物語」のシステム
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