文覚像/……とある蛙
 

薄暗い博物館の
階段下 脇

上半身だけの
腕組をした文覚像
その見開かれた眼

その視線の先には
首無き骸の袈裟御前

聞こえぬ絶叫の声と
絶望の表情

何思うか苦悩と孤独
愛するものの首無き骸

無念無残、無慈悲な運命
結ばれない愛の曼陀羅

文覚は無学強力
その後は精力的
歴史の展開で名を残す

さてその作者
遠めで見ればほんの一瞬
たった二年の出来事だった

萩原禄山
何思う
失われた
黒光 相馬
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