パチパチ/鵜飼千代子
 



童謡を読んで
書いた詩人を紡ぎだした
環境を排除して
言葉を撫でるように
なぞるだけで

現代の裕福な子供たちが
詩を受け取ることは
出来るのか



会場にいた観衆に
パチッ

パチパチッと

回線が繋がる音がした



詩は
言葉は、
そもそも声に出すもの



縁先に台を出して
新聞をひらげながら
大きな声で音読していた
自分が子供の頃の
大人たち

通学の子供たちはそれを
街頭に流れるラジオのように
聞いていた



今は、
そうしたことを知ってか知らずか
それぞれの環境で。

自作詩に朗読の
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