風の通り道/そらの珊瑚
九月十三日の朝
風のこどもたちは
キッチンの西窓の向こうで
すでに足踏みを繰り返していたとみえ
私が縦長の窓を押し開くと同時に
遠慮なんかこれっぽっちもしないで
じゃれあうように
とびこんできた
あいさつの代わりに
黄色いカーテンを揺らし
テーブルに出しっぱなしにしてあった
日記の頁をめくる悪戯っ子
ハミングじかけの軽やかさで
薄曇りの東の窓から出て行った
通知表に書かれた
しょうもない私の欠点を思い出す
直すようにしましょう
直したつもりでも
今でもひょこっと顔を出してみせたりする
私のなかのえいえんのコドモ
此処から東へたどってゆけば在る
故
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)