秋の音 (詩人サークル「群青」9月のお題「音」から)/Lucy
 

  「でもやっぱり、子どもだけではだめだと思う。」}

危ない会話

郵便屋さんのバイクが通る
遠くをよぎる列車の音

日が落ちて
リー、リー、リー と
かすかな虫の音が
驚くほど鮮明に耳に届く

しだいに裏返る記憶のはずれに
消え入りそうな音として

    
あの時私はどうして行かなかったんだろう
  みんなと一緒に
  仲間の説得には失敗し
  結果一人だけ無事だった
  まるで裏切り者のように

  「そんなにいつも、いい子でいたいの?」
  今も内耳に突き刺さったままの
  あの子の声


りー、りー、りー・・


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