テンパラメンタル/みけねこ
 
に取り出さない。わたしはそんなことをしたことはないけど、
 そういう気持ち、わかるから、
 わたしはあなたに似ているといえるし、あなたはわたしに似ているといえる」

 私ははっとして、視界を縁取っていた全ての景色がお腹にどすんとぶつかったような感覚に襲われた。それは突然で、ふいに喉が渇いて、足元がひび割れて、黒く大きな穴があいた。
 あっ、と思った瞬間ひゅんと映像は途切れ、瞬きをするとそこは春の陽の差し込む、いつもの教室だった。
 空は青く、雲を吹き散らして澄んでいた。
 私は自分の席で教科書を広げていた。
 しかめ面の教壇の教師と目が合って、バツが悪かった。

 セピア色のさびしい午後に、開け放たれた窓から、木蓮の淡い香りのする風が吹き渡った。
 
 夢?
 
 私は世界のリズムから振り落とされて、今にも止まりそう。

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