テンパラメンタル/みけねこ
 
華奢でフラジャイルなレアチーズケーキだった。
 口づけすると、私の身体じゅうの皮膚からピカピカした琥珀色のエネルギーが溢れ出てきた。それは私を私として存在させる、透明で穏やかな気持ちだったから、心の中にかたく沈んでいた鉛の石がどんどん溶け出して、こぼれて、小さな硝子片になって私の両目からちらちらと舞った。

 リカコは綺麗な水の湧く泉だった。私も濁りなくせせらぐ、豊かな青い清流になっていった。
 
 リカコは歌うようにささやいた。

「あなたは、わたしとはちがうけれど、わたしに似ているところがある。
 あなたは硝子瓶に蝶の死骸をつめたのを、いつも鞄のなかに入れていて、
 滅多に取
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