羽矢と霧矢/あおば
 
              130903
ほい!
無防備のままに
投げ出された女の主体を
無自覚に踵で踏んづける
宿命的に対立の朝
鈍い目をした顔だけの男は
足音も立てずに目を背ける
ハイヒールの踵が踏んづける
ローファーが跳び越えて
スニーカーは蹴っ飛ばし
生み出された僅かな隙間を
半長靴がどかどかと音を立て
長靴の列が蹄を鳴らし
訓練は首尾よく終了したと
9月2日が暮れる
9月3日の約束は
あっさりと無視されて
お祭り広場には催涙瓦斯が漂い
サリンのお迎えの準備を調える
存在をお迎えするのが怖い方々が
花束を解き
煌びやかに祭壇を盛り立て
存在世界
[次のページ]
戻る   Point(8)