少年の靴  /服部 剛
 
道の先には置き忘れた  
少年の靴が、ひとつ   
夏の日に照らされ輝いていた。  

靴は近づき、通りすぎ、遠のいて――  
ふり返るとやっぱり輝いている  
あの少年の靴  

いつのまに大人になっていたのだろう?  
いつから置き忘れていたのだろう?     
あの、路上の星の、輝きを  

頬に汗の伝うままもう一度、踏み出せば  
旅の歩調は何処までもゆくだろう――   
胸の鼓動は何処までも高鳴ってゆくだろう…  

夏の日に反射する道は未知へ繋がり  
僕が僕になる為の  
題名の無い今日の舞台へ  

交差点のシグナルが、青になる。






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