不定型な夏/……とある蛙
私は融ける
部屋の中で
残暑の厳しい光を避けて
私は融ける
一間の部屋で
秋まだ来ない熱風を避け
私は融ける
部屋の布団で
隣に寝ている妻に背を向け
私は融ける
八月の午後
朝まだ来ない彼我誰時
私は融ける
眼を開けないまま
眼球を刳り貫く勇気もなく
私は融ける
両耳を塞いで
溶けた鉛を注がれぬように
私は溶ける
舌を噛んだまま
嘘でしたが引き抜かれぬように
融けた私はそのまま流れ
この夏を越えても
流体のまま
この夏越えても
形のないまま
この夏越えても
融けたまま
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