あけび/川上凌
ばいばい
さよなら
またあした。
けんかした日のかえりみち。
道端につぶれた木通(あけび)
避けるようにとおります
ふんでしまったらさあ大変
靴の底に呪いのネバネバがくっつくような気がします
じんせいで一度も踏んだことなどないのにね
ばいばい
さよなら
またあした。
知っているのです
既視感(デジャヴ)のおかげでしょうか
つぶれた木通(あけび)がネバネバしていそうなことも
余計なことを言ってしまったら
あなたとの距離が遠くなるかもしれないということも。
けれどわたしは学ばずに
するりと口から“余計”を落っことす
朝、一緒にみつけた木通(あけび)
かえりみちでは潰れていました
ばいばい
さよなら
明日こそ
きっときっと、明日(あけび)こそ
つぶれた木通(あけび)をみて
あなたと一緒にわらいたい
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