香之手紙/影山影司
て青椒肉絲を盛る。茶碗に白飯と、あとはありあわせで作った味噌汁を並べて、兄貴と飯を食う。互いのグラスにビールを注ぎながら、同じ皿を突ついた。
「叔父さんとこには、暑中見舞いの葉書出したんか?」
「先週出しといたわ。明日辺り、果物送ってくれる言うとるけん、お前も食って帰れ。一人暮らしで桃やら梨もろうても、よう食わんわ。皮剥くんも、大義でな」
兄貴の手は、ゴツゴツとした山芋のような手だ。その手で枝払いのナタを握ったことはあっても、包丁を触ることはないだろう。
「朝にゃ帰るわな。皮剥きが大義ぃんなら、はよ嫁でも貰いまいや。飯ちゃんと食わんと死んでまうで」
「お前は、嫁さん見つけたんか?」
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