錬金術一線を掘る/朝焼彩茜色
 
錬金術者が月面裏に潜んでいるのが 映っている
巧みに調合をさせた 得体の想像に皺の夜 眉間
悩み試案の中のフラスコと月中枢 
媚薬を小指で混ぜる 雲は実験からの煙 燻らすうてな

一番深いクレーターから皮の弛ませた打楽器の耳鳴り

憑かれる粘ついた奇心 黄金に変えるコンパスの円
何を想い馳せよう 開拓できない秘密基地 月埃がコンタクトレンズと目の間に
激痛を走らせる それでも四囲は冷ややかに裏の顔を見せない
裸眼のぼやけより レンズは外れてくれない 容赦もなく フラスコを揺らす

月中枢までのトンネルから重複する 身に覚えのない幻覚

見たくも感じたくもない 戦慄く滞る
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