/紅月
 
ていてほしい、
鳥は鳥たちではなくて、
幽霊は幽霊たちではないから、
誰もそこからはぐれて、
また、ふたたび、を
数えはじめる、」


あらゆる、
あらゆる卑怯の、
残響する、街、白い骨、
が、あちらこちらに放火する、
燃えあがるえいえんの、
つたなさ、が、
ながくふかい都心の、
みぎわに、ふたたび、
渦を巻くから、
だから、
これがさいごだなんて
言わないでほしい、
みぎわに寄せる波の、
引いては、また、
ふたたびを、返す、
幾度も、
幾度も群れからはぐれる影、
影たちではない影よ、
あなたがたではないあなたや、
わたしたちではないわたしを、
そのたびに祝福してあげたい、
街の、文法、
鳥の、集合の、
あらゆる、ひとつから、
そのすべてから、
(ごうまんでもいいから、)



 

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