箱庭にて 雪氷積りて 草花艶やかに/黒ヱ
 
鮮やかに降り積もる 霰は霞み 日より煌めく
知らぬ記憶にあり それでも待ち続けるもの 春風
あまりにも温かく 色鮮やかで

「妬ましき」

柔らの殻に在りて震え 
風に誘われ
離すものが また攫むものに
託し託され その想いの拠り所も知らず
それが互いの為と

寒さに拱いて 氷に委ねる 身は剥離する
その景色より思う 先を見据えては

「昇るものよ! また 沈むものよ!」
「待てど! これが現実だ!」

そう思いて 凍て眠る

現実は いつも決まっている
変わらない
変われない

望まれるままに 生 植付けられ
芽吹き 誘われる 紫苑の輪廻

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