生かされる事。/ヒヤシンス
 
何度も鳴るのを知っていました。
留守電を聞く余裕すらありました。
あなたの声は泣き声でかすんでいて、何度も私に呼びかけました。
死なないで、死なないで、死なないで。

私はなんと無情な人間だったのでしょう。
人に優しくありたかったのに。
いつでもその人の味方でありたかったのに。
ただ思いやりだけを忘れずに生きてきただけなのに。

後で知ったのですが、今の睡眠薬や精神薬などで人は死ねないようですね。
その時は、そんな事も気にせずに持っていた全ての薬を飲んでしまいましたが。
薬を飲んだ後、私は夜も更けた公園でなぜか安堵の笑いを発して、あの頃常に持ち歩いていた切れの悪いナイフで自
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