お気に入りの席で/ニワコ
 

通っている喫茶室の中に
硝子張りの電話ボックスがある

おそらく四年ほど
通ってはいるのだが

まだ其れを利用している人は
見たことがない

また自分も
まだ利用したことがない


もし私がその電話ボックスを
利用する時がきて

その時私は
誰の声を聞くのだろう
どんな話をするのだろう
どんな声で話すのだろう


私はその時を想像して
大切な人の顔を思い浮かべるのだ

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