背負って生きられるのかね/影山影司
シャツを、一つずらして着て、首元には根が滑りこんでいる。これから情事をするよ、というように。木の種類はなんだろうか。カミオは自然を愛でる趣味がないので分からない。縄のような、苔の緑を浮かべた根っこがゆるやかに胸元へと伸びている。
トットの鼻先から、色の薄い唇、陽に溶けてしまいそうな細い顎、抱きしめて折ってしまいたくなる首筋、そのすぐ下にある、華奢な貝殻のボタン。淡い乳白色に、虹色を浮かべている。
それを外して、自身の手を滑り込ませたらどうだろうと想像する。
「人は生きてるだけで、地球を汚すと考えているのよ。原罪、って言うのかしら。生まれてきた時に既に罪人だと……。そういう人達が、あの植木
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