蛇口/
時子
ねぇ、私はあなたの事、今も、これからも大好きだよ。
僕は彼女を力いっぱい抱きしめた。
パジャマも、蒲団も、僕の顔も、部屋中の物が濡れてびしょびしょになり、やがて部屋は彼女の水でいっぱいになった。彼女の体をいつまでも抱きしめながら、僕はあたたかい水の中、「ごめん」と呟いてゆっくりと目を閉じた。
僕の言葉は彼女から溢れる水の中、まぁるくなってゆっくりと天井に登っていき、蛍光灯にぶつかって消えた。
おわり
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