どうでもいい事シリーズ/兎田 岳
うこうしているうちに、彼は乗り継ぎの駅に到着した。電光掲示板の、乗り継ぐ電車の発車時刻を見て、このトラブルによって接続がすんでのところで失敗したところを知る。つい先ほどまでは車掌に、組織に、同情の念すら抱いていた彼だったが、一転して腹をたてている。人間とは、物事が思い通りにすすまない場合に腹を立てるものなのだ。いうまでもなく彼は毎朝朝食をきちんと摂るタイプである。さきほどの電車で前に座った親子がなるほど親子だといわんばかりにそっくりだったことなどとうに忘れて、その親は子供の年を考えれば少し老け込んでいたからもしかすると高齢出産の類なのかしらと彼は思いをめぐらせたことなどとうに忘れて、彼は同じ事情で目的の電車に乗れなかった同胞たちとただ腹をたてているのだった。
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