帆蔭/十二支蝶
 
きれいなお札の表面は大好きな匂いで満ち溢れていて、けれどたしかめなくて
雲のように真っ暗な風や雷は太陽と壁と沢山の木々で繋がれていたいと思うのだろう
ぬらぬらりと囁く鼓膜からさわれぬ泥がこもれて
今流れるあつさと痛みから潮の無い帆蔭へかわろう
やがて破れて 海になって 闇になって 渦になって 底になって  
生温かい目ん玉になって 泡になって 道の先に茂る 木陰の草になって 一息吐いて そばであなたを見上げよう できれば

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