鮒/あおば
朝、目覚めたが
からだがかたい
かたまった
うごけなくなる
心臓まで止まるので
ふだん着のままで
こそこそと道路を渡ったら
車に轢かれた
よそ行きに着替えて
タクシーを止めて
堂々と横断歩道を通る
いつもの駅から電車に乗り
辞めた会社に急ぐ
すわったままで
ぐっすり居眠りすると
かたまりが解けて
座席を濡らし
正体が割れる
眠ったふりして
心は解けないようにする
電車は
轟々と天井川を潜る
見上げると
天気がよいので
川底に鮒も群れて
ぱくぱくしながら
釣り上げられるのを
待っていた
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