SCHOOL/済谷川蛍
 
の少年の背中に向けたからか、小林が「おーい、にゃりおー」と声をかけた。彼はいつもここにいる。彼自身、小動物のようだ。竹中は、学生たちがにゃりおを囲んで、犬や猫たちと戯れながら談笑しているのを見ていたが、にゃりおがその状態を鬱陶しく思っているのがわかった。竹中もどちらかといえば一人でいるほうが気が休まるタイプだった。にゃりおは無言で猫の背をなで、たまに気恥ずかしそうに首を縦に振ったり、横に振ったりしている。女子生徒が彼の頭をさする。写メが撮られて、笑いが起こる。にゃりおも笑う。ただ本当に嬉しくて笑っているようには見えない。彼の哀しい処世術を見ていると竹中は胸がざわついた。竹中は思った。学校にこういう
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