SCHOOL/済谷川蛍
 
い。学校を卒業後、社会からずっと逃げ回ってきた人生を社会経験のない学生たちに追いかけられて、竹中は随分疲れた。しかし彼らの中に誰一人として自分を蔑視しているものはいないんだなということが感じられてほっとした。それまでずっと彼は臆病になりすぎていた。そしてあらためて、ここの校風は自分に合っているなと感じた。一息つき、観覧車の方角へ目を向ける。それは太陽の光を反射してゆっくりと回転していた。
 竹中が小林たちといっしょに更衣室に向かう途中にワンワン広場があった。捨て猫や捨て犬を保護している場所だ。たまに学生や教師がもらっていく。小柄な少年が蹲り、猫の背をなでていた。竹中が気にかけるような視線をその少
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