SCHOOL/済谷川蛍
 
な職歴はない。少年は思わず「うそっ、マジ? すごいじゃないっすか! どんな仕事なんです?」と意外なほど食いついて見せたので竹中は「ごめん、うそ」と謝った。
 少年は一瞬きょとんとし、「な、なんでうそつくんすか」と笑った。
 その様子を離れて見ていた女子高生もここぞとばかりに近づいてきて開口一番「結婚はしてるんですか?」ときた。竹中はもう「勘弁してくれー!」と叫びそうになった。自分は落ちこぼれてこの学校にUターンしてきた単なるダメ人間なんだヨと正体をばらしたかった。
 「してないよ…」と竹中は正直に答える。
 さらに生徒たちが集まってきて色んな質問を浴びせられた。この学校に世代の垣根はない。
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