SCHOOL/済谷川蛍
 
ゴンドラに、4人の男女がわいわい騒ぎながら乗り込んだ。竹中たちの乗ったゴンドラの中に設置された残りの周回を表している電光掲示板の数字が1つ減る。竹中は小さく口を開いた。
 「僕はこの学校を選んで正解だったな。こうして戻ってこれたんだもん」
 「わたしもそう思う!」
 「でしょ? 僕らはもう大人なんだ。大人っていうのは、きっと自分で幸せを探せるようになった人間のことを言うんだ。幸せを求めて僕らはここに戻って来たんだよ」
 竹中たちのゴンドラは5周目の頂上に差し掛かるところだった。竹中と沖はもう何も言うことはなく、黙ったままゆっくりと互いの唇を重ね合わせた。
 「今度はここを卒業したいね」
 観覧車は様々な人を乗せ、人生と同じスピードでゆっくりと回る。
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